カラヨキものがたりのはじまり

Monika Luukkonen

ここ数年、わたしはフィンランドのライフスタイルやフィンランドの人々が暮らしの中で感じる幸福感を書籍やブログで日本に向けて発信していますが、このたび新たに海辺の町カラヨキを訪ね歩くことになり、この町での隠れた珠玉のものがたりを書き綴る機会に恵まれ、この上ないよろこびを感じています。

今回のお話は、海辺の町に暮らす人々、取り巻く自然、地元の魅力的なスポット、名産品、学校や教育システム、ローカルビジネスなど、これからこころを込めてご紹介する“カラヨキものがたり”の最初のエピソードになります。

カラヨキの人々と深くつながり交わりながら、ここに暮らす人々のエッセンスや気持ちをまっすぐに伝えてゆきますので、どうかわたしと一緒にカラヨキの旅を楽しんでくださいね!

Kalajoki:カラヨキの町には”魚の川“という意味があります。

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11月の下旬のある日、わたしは初めてカラヨキを訪れました。

夜が近づいてくるまでずっと雪が降っていて(海からの強い風とともに)、雪の海沿いの木々を横目にオウルからドライブしている間ずっと胸が高鳴っていました。わたしのふるさとオウル(Oulu)はボスニア湾に面し、カラキヨから南へおよそ135㎞(車でおよそ2時間)離れたところに位置しています。

たとえ木々の後ろに海がすっぽり隠れてしまってはっきりと見えないとしても、海に一番近いルートを選んでしまいます。

海沿いのルートをずっとドライブしながら鼻をかすめた潮のかおりと新鮮な海からの空気、いまだにありありと思い出すことができます。そのときの私はというと、胸が高鳴り、とてもワクワクしていました!

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カラヨキに近づいてきた頃、たくさんの風力発電機を見かけました。そこはいわば本物の風の力を生み出す広場のよう。

わたしたちの世界は変化し続け、このかけがえのない地球と多様性に富んだ環境が未来永劫、損なわれず保たれるよう我々が責任を取ってゆかねばなりません。

最近では消費者自らが代替エネルギーを選び、利用できる(カラヨキのケースでいうと自分たちで使うエネルギー供給の種類)ことがとても喜ばしく、より環境にやさしい世界へと歩みを進めています。

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カラヨキはフィンランドでとてもよく知られている砂浜で、この度、その砂浜の右手に佇むとても愛らしいホテル、サンタリゾート&スパ サニ(Santa’s Resort & Spa Sani)に滞在しました。

思えば、わたしはずっと海(そして湖。)に魅了され続けていて、水の持つ不思議さーそして穏やかさーがこころの内側に湧き起こる感覚にいつもとらわれています。

そんな感慨に浸りながら、わたしはホテルの客室に入ってゆきました。たくさんの大きな窓を通り抜け、海からの癒しと静けさ(ただ立ち尽くしたまま、海を何時間も何時間も愛でていられたことでしょう。)を堪能しました。夏の間は、この大きな砂浜でたくさんの人々が陽射しや海を楽しんで(今は厚い雪の層に覆われているけれど)いる様子が容易に想像できました。

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とはいえ、全てが雪に覆われた際の静かなひとときもまた代えがたい魅力があり大好き。

この世のものとは思えないくらいに神秘的。限りない静寂。

広々としていて、思わず目を閉じて瞑想したくなるような室内は、黙想に導かれるような静けさを与えてくれます。

陽ざしや暖かさは、たいていエネルギーを注いでくれますが、時にちょっぴり落ち着かない気持ちにさせることもあるものです。

そんな中、冬の静けさはただこころを鎮め、内面へと思考を導き、瞑想状態へと誘ってくれます。

ホテルの窓の外にある大きな松の木々が目に入るやいなや、日本の市松模様や海辺のリゾートを思い出させてくれました。

わたしは間違いなく心からくつろげる冬のリトリートにたどり着いたようです。

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それからソファーに腰掛け、足をしばらく放り出してくつろぎながら、冬ならではの海を見ながら身を委ねていました。

自然の中で環境本来の静けさやフレッシュな空気を楽しむためのこの“安らぎと静寂の旅”が、近年いかにたくさんの外国人旅行者たちを魅了しているのか、ということをこのカラヨキの旅を終えてから読んだ記事で知りましたよ。

わたし自身は仕事のストレスに負けないよう、そして心身ともに健やかさを維持するため(ふだんの暮らしでは静かな自然の中で長いウォーキングをしているんです。)、自然と静かな空間に身を置くこうしたリトリートが定期的に必要になっています。

夕方になると、ローカルビジネスの交流会でとても多くのカラヨキの人々と会う機会に恵まれました。

出会う人出会う人、なんて気さくでオープンで情熱溢れる人たちなの、と心から驚かされてしまいました!ひとりひとりの感情が個々にしっかりつながり、互いにしっかり支えあい、助け合う精神がカラヨキの人々には宿っているに違いないと感じました。こうした精神は、大きな都市では残念ながら忙しさの中でついつい忘れられてしまわれがちですね。

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交流会を終え、夜遅くホテルに歩いて戻ってくると、この静かなスパのエリアは、まるで山々の村落にある日本の小さな温泉地のように感じられました。浴衣を羽織って温泉付きのホテルや旅館へとそぞろ歩きながら宿に戻っているような。もちろんそこまで厳密に同じではないのですが。そもそもフィンランドには温泉がありません・・・でもそこかしこに醸し出す雰囲気があまりに似通っていて思わずそんな印象を受けたのです。とても既視感を覚えるこの得も言われぬ癒しとくつろぎ、そして深い闇に取り囲まれる感覚・・・。

朝になり、ホテルの窓のから景色を眺めているとこの滞在の意味がすべてはっきりと浮彫になりました。カラヨキで垣間見た様々なこと、暮らしている人々―全てのできごとがこれからもっともっと知りたくなるものばかりだったのです!

これからまた来(きた)るカラヨキの旅をもっと深く探るようにと窓から眺めていた海から話しかけられているようでした。カラヨキを取り巻く自然、そして自然と海がどのように人々の暮らしに根ざしているのか見て探ってゆきたいのです。

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モニカってどんなひと?

モニカ・ルーッコネン:フィンランドのライフスタイル専門家でノンフィクションライター。モニカは日本でフィンランドのライフスタイルの本を複数出版しています。彼女の最初の著書『ふだん着のフィンランド』グラフィック社 2015

http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=31593

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』 ダイアモンド社 2016年 http://www.diamond.co.jp/book/9784478069233.html

三冊目の著作が20182月に上梓される予定です。

モニカの執筆テーマはフィンランドのライフスタイル、やりがいある充実した人生、ヘルシーな食生活、環境意識、フィンランドの教育、ワーキングマザーの日常生活、そして自然などです。

モニカはおよそ20年に及ぶ日本とのビジネスの経験があります。国際マーケティングやセールス(例えば通信や医療技術分野、そしてビジネスコンサルタントなど)。モニカは日本と英国に2回住んだ経験があり、現在はフィンランド北部のオウルに一人娘と暮らしています。読書やウォーキング、クロスカントリースキーを楽しみ、自然の中で過ごす時間を大切にしています。

ご興味のある方はこちらのインスタグラムやツイッターをフォローしてみてくださいね。

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翻訳:Miki Kanda

主な写真:Vesa Rönty

その他の写真:Monika Luukkonen