地元のうつわとガラス工芸がいざなう海辺の気分

Monika Luukkonen

わたしは陶芸家やアーティストの方々が作品を創り上げるまで、実際どのようにインスピレーションを得ているのかいつも関心を寄せています。

このたびのカラヨキ訪問は地方の工芸や芸術作品がもたらす具体的なローカルアートの未来を想起させてくれるものでした。

まずわたしはイソ・パハカラ(Iso-Pahkala)という陶器メーカーを訪れました。

1927年にイルマ(Irma)とカリ・イソ・パハカラ(Kari Iso-Pahkala)夫妻が家族経営のビジネスを設立し、その後パハカラ一家はホーガナス(Höganäs)という陶器産業で有名な南スウェーデンの町で過ごし、次にグスタフベリ(Gustavberg)というグスタフベリ磁器工場有名な町で暮らしました。


イソ・パハカラ陶器会社は家庭や企業向けのインテリアデコレーション製品を生み出しています。近年、お父さんのカリ氏は完全に既存の家族経営事業から解放され、創造的な作陶と自身の作品を展示してゆく計画に事業の焦点を当てています。

イルマお母さんは、アーティストとしての活動と自身の会社の専属装飾画家として働いています。息子のアンッチ(Antti)は2008年より会社経営に携わり、ゆっくりと近代化を進め、会社の陶芸スタイルをよりミニマムでそぎ落としたスタイルへと変化を起こしているところです。

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左がイルマで右が息子のアンッチ。彼らで家族経営しています。

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フィンランドで最大の乳製品会社のValioのための置物と転写技術が施されたジャグ

彼らの工房では、陶磁器用粘土を材料として使用しており、新しい陶窯には異なる工程で生産された陶器が入っていました。そして、彼らの製品はいったん全て同時に焼き上げる(釉薬がついた状態で)という作陶プロセスを学びました。全ての製品を焼き上げる時間はおよそ7時間かかるとのことです。

彼らの工房を案内してもらった後、アンッチとわたしは彼らのお店(カフェも併設されています。)を訪ねました。ショップでは、幅の広いボウルやマグ、ランタン(キャンドルを内側に入れることができます。)、キャンドルホルダーや花器など装飾小物が並んでいましたよ。

「すべての商品はカラヨキの海辺の砂で表面を加工しているんですよ。」アンッチが説明してくれました。カラヨキのひとかけらの自然を彼らの製品に添えるというアイデア、とても気に入りました。そしてわたしの関心はシンボリックなイソ・パハカラの製品とし

てとても人々によく知られている大小の灯台のランタンに惹き付けられていました。灯台は海上の船にとってのかがり火です・・・。

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灯台のランタン

もうひとつのわたしが気に入ったシリーズ商品はーわたし自身が建てもの愛好者ということもあるけれどー家をかたどったランタンです。(そして今この小さなハウス型ランタンが我が家のキッチンテーブルにあります!)

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ハウス型ランタン

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魚型のボウル

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「カラヨキにいらした際は、どうぞ私たちのアトリエやショップにいらしてください!多くの方のお越しを歓迎しています。」去り際にアンッチがにこやかに言ってくれました。

イソ・パハカラ陶器(Keramiikka Iso-Pahkala)はウェブサイトやFacebookでもご覧いただくことができます。

ウェブサイト:www.iso-pahkala.fi

Facebook: www.facebook.com/Keramiikka-Iso-Pahkala-ja-Kahvila-Seili-385076818215558/

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次に、わたしは古いプラッシ(Plassi)エリアにあるガラスアーティストのヘイッキ・ウルビ(Heikki Ulvi)氏のアトリエを訪れました。

 

アトリエに入るまでのわずかの間、わたしはふいにヘイッキ氏がどこから彼のガラス作品のインスピレーションを得ているのかわかった気がしました。それは水辺からではないかしら・・・と。彼の家とアトリエはどちらもカラヨキ川の右側に沿っていて、海までそう遠くありません。(ちなみにヘイッキは望遠鏡で海を眺めるのが大好きなのだそう。)わたしは、窓に飾られたガラスアート作品から差し込む早春の凍った川からのきらめく光にうっとりさせられました。

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ヘイッキ・ウルビ氏はもともと美術関係のバックグラウンドを持っています。彼はアアルト大学(Aalto University School of Arts, Design and Architecture)での学位を有しており、美術教師や画家として働いた経験もありますが、現在はガラス工芸アーティストです。

ここ10年ほどは特にガラスアートに集中しているそう。ヘイッキは様々な板ガラス技術を駆使し、ガラスを溶かしては他の材料と組み合わせながら彼独自のアート作品にしてゆきます。

 

ざっとアトリエを見渡しただけでも、海の風景や帆船、青空と海辺の風景のかけらがあちこちに窺えます。

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ヘイッキのアトリエ付近を歩いているとき、ヘイッキはひょっとしたらガラスのみならずマルチなアーティストではないかしら、と思いました。壁に飾られたたくさんの絵画やガラスボウルに写真、大きなガラスのアートピースを室内で目撃したからです。

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ヘイッキはまた国際的な雪像(雪の彫刻)イベントに多く参加していました。例えば1997年の札幌雪まつり、2002年の長野の雪と氷のまつり、そしてイタリアのトリノでの2006年冬季オリンピックなどです。

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わたしはまた、アトリエと同じ敷地内にあるヘイッキ夫妻のご自宅にも訪問する機会を得ました。室内に入るやいなや、私の目はリビングルームの窓にそれぞれの季節の白樺が光を反射している美しいガラスアートに完全にとらわれてしまいました。白樺の木々以上にフィンランドらしいモチーフがあるでしょうか?

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夏には、ヘイッキはしばしば彼のアトリエで展覧会を催します。また、フィンランド国内の展覧会に出品し、国際的な展覧会のツアーにも参加しています。

 

ヘイッキはアトリエへの小規模なグループツアーを喜んで歓迎するそうですよ。

 

ここで紹介したヘイッキ・ウルビ氏のサイトはこちらでご覧いただけます。

www.lasiateljee.fi/

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川辺に佇むヘイッキ・ウルビ氏のアトリエ

モニカ・ルーッコネン:フィンランドのライフスタイル専門家でノンフィクションライター。モニカは日本でフィンランドのライフスタイルの本を複数出版しています。彼女の最初の著書『ふだん着のフィンランド』グラフィック社 2015年

http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=31593

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』 ダイアモンド社 2016年

http://www.diamond.co.jp/book/9784478069233.html

三冊目の著作が2018年2月に上梓される予定です。

 

 

翻訳:Miki Kanda

写真:Monika Luukkonen