日本と長年にわたる交換留学経験を誇る町カラヨキ

Monika Luukkonen

カラヨキは日本の姉妹都市である出雲市と長年にわたる交換留学が実を結んでいると聞き、この姉妹都市についてのストーリーを知りたくてたまりませんでした。

そこで、このたびカラヨキ高校のパエヴィ・オヤラ(Ms. Päivi Ojala )副校長に話をお伺いしてきました。

カラヨキはもともと2003年に島根県多岐町との間に友好姉妹都市協定を締結しましたが、2005年に多岐町が出雲市に合併されたことから、その後出雲市の友好姉妹都市という位置づけとなっています。友好都市協力が開始され数年後、カラヨキと出雲の間で学生の相互派遣事業が発足されたのです。

その交換学生プログラムは両国が相互に補完し合いながら実施されています。
日本からの訪問団は1グループおよそ12名の学生と2名の保護者(たいていは教師)と通訳1名で構成され、8月(フィンランドの夏休みの後、秋の学期が始まるタイミング)に10日間ほどカラヨキを訪問しています。

フィンランドからの訪問団は10月の秋休みを利用し、10名の中高生と2名の教師がカラヨキから出雲を訪れています。

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パエヴィ・オヤラ副校長

この交換留学制度は海辺の町であるカラヨキと出雲の協力関係をより強化することが主な活動方針です。

時には日本の他の地域からカラヨキを訪れる交換留学生もいますが、カラヨキの学校が日本の他のエリアから学生を受け入れるケースについてオヤラ副校長に尋ねると、副校長はこう答えてくれました。

「どうして出雲以外の地域からの交換留学受入れを広げずにいられるかしら?わたしたちは何年にもわたり日本の学生の受入れ事業に関わり、今ではかなりの経験を有しているのです。」(カラヨキの学校は他にも数多く国際的な協力を展開しています。例えば、Erasmus(エラスムス:EUが実施する交換留学プログラム)交換留学プログラムでは、学校の美術部がイタリアのフローレンスを毎年訪れたり、国際研究グループがアイルランドにあるNordPlus(ノルウェーのノードプラスという進行形のプロジェクトなどがあります)を訪問しています。

フィンランドと日本の学生たちはいずれもその土地にホームステイし、滞在中はホストファミリーの子どもたちと一緒に地元の学校に通います。

ホストファミリーは派遣される学生たちをいつでも温かく家庭でもてなし、受け入れた子どもたちが自分の国へと出発する日が来ようものなら、ホストファミリーや学生たちみんなの目には涙が浮かぶほどです。

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日本とカラヨキどちらの国においても学生派遣プログラムは体系的にきめ細やかに組み立てられています。カラヨキでは日本の学生たちはフィンランド式のライフスタイル(フィンランド人のホストファミリー宅に滞在する間)や文化にぞんぶんに触れることがプログラムの最も重要な目的です。

カラヨキでホストファミリーと1週間過ごした後、学校では歓迎イベントが催され、その後日本人の学生は学校の通常授業に参加しますが、学校行事の中には日帰り旅行があったり、夕暮れどきにフィンランドの伝統的な料理を楽しんだり、自由時間で様々なアクティビティを経験する機会が用意されています。

先生方はというと、生徒たちとは別のプログラムが準備されており、カラヨキ市内の異なる複数の学校を訪れ、フィンランド式の教育メソッドを学んでいます。

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ホームステイの心得が詰まった特製の辞書

「日本の学生たちはここでどんなことに一番興味を持つでしょう?」わたしがオヤラ副校長に尋ねると、「フィンランドの自然ね。カラヨキの特徴ある自然に深い関心を寄せているようです。」と答えが返ってきました。オヤラ副校長は続けて言います。「ここには海やフィンランドならではの森があります。以前、多岐町の町長はカラヨキにとても感激していました。それは海辺の特徴が多岐とあまりに酷似していたからです。何年にもわたり、日本からの訪問団のみなさんは森の中を歩いてワイルドベリーを摘み取ってその場で味わったり、野生味ある自然の中をただシンプルに歩いて過ごすことを心から楽しんでいます。もう一つの心躍る経験とは、海で泳いだ後サウナに立ち寄ることです。また学生たちは、二つの帆が立てられた木製のアンシオと呼ばれる帆船でカラヨキで航海することができ、楽しんでいるようですよ。訪問者の一部の方は、カランカリ(Kallankari)島と島の周辺の幻想的で穏やかなエリアを訪ねたりしてとても喜んでいます。」(わたしがこの航海と静かなフィンランドの海のことを聞いたとき、トーベ・ヤンソンの海辺のお話を思い出してしまいました。)

「カラヨキへ交換留学を希望する学生にとって必要な条件はありますか?」と副校長に尋ねたところ、「フィンランドのホストファミリーと滞在中うまくやっていくために、少なくとも最小限の英語力は必要ね。このカラヨキと出雲との交換留学制度は間違いなく学生たち、そして日本とフィンランド両国のホストファミリーの人生を豊かに彩ってくれています。さらにこのプログラムは主催者であるわたしたちにも実に多くのことを示唆してくれます。ぜひ一人でも多くの方がこのプログラムに応募してくれることを奨励します。」と力強い言葉をいただきました。

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副校長にいろいろお話を伺った後、わたしは出雲へ学生派遣の経験を持つ学生たちとおしゃべりする機会を得ました。

ヤスミネ (16) とカチヤ (17) です。

わたしは彼女たちが出雲での滞在を通し、フィンランドの学校生活と比べて最も大きな違いは何だったのか聞きたくてたまりませんでした。

「一番大きな違いは、まず毎朝登校すると学校全体の掃除がとても行き届いていて、清潔な状態で授業が始まること。それから学生たちはわたしたちが想像した以上に先生方に敬意を払っているように思えたわ。そして、学生たちが自ら給食の準備を手伝っていたのも印象的。」と少女たちは答えました。

一方で、「日本の学校では様々なやり方で学生の放課後の自由な時間にちょっぴり制約を強いているようにも感じました。」と学生たちは続けます。「例えば学校で学生として勉強している間はアルバイトをしてはいけないとかお化粧をしたり髪を染めたりしてはいけないとか。でも日本の学校で制服を着用することを義務付けられていることはよいことだと思いました。」(フィンランドでは一部の子どもたちやその家族が学校に行くための毎日の服装にかかる費用がとても負担となっておりストレスを感じているんです。)

わたしはまた、日本の学生たちがカラヨキを訪問している間に一番気に入ったことはなにかを尋ねたところ「サウナ、フィンランドの料理―フィンランドのじゃがいもとスモークした魚などーそして、フィンランド式の野球 ペサパッロ(pesäpallo)です。」と少女たちは元気よく紹介してくれました。

「それから不思議なことに、いく人かの日本の学生たちは冬の間そこらじゅうたくさんの雪が積もっている時期にあえてカラヨキを訪れるのがとても好きみたい。」

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モニカ・ルーッコネン:フィンランドのライフスタイル専門家でノンフィクションライター。モニカは日本でフィンランドのライフスタイルの本を複数出版しています。彼女の最初の著書『ふだん着のフィンランド』グラフィック社 2015年

http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=31593

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』 ダイアモンド社 2016年http://www.diamond.co.jp/book/9784478069233.html

三冊目の著作が2018年2月に上梓される予定です。

翻訳:Miki Kanda

写真:Monika Luukkonen